泡瀬干潟の埋め立て免許変更申請に関する意見を提出

 ラムサール・ネットワーク日本では、泡瀬干潟の埋め立て計画での、中城湾港泡瀬地区公有水面埋め立て免許変更申請に関して、2011年6月6日に以下の意見を沖縄県に提出しました。



2011年6月6日
沖縄県土木建築部港湾課 御中

「中城湾港泡瀬地区公有水面埋立免許変更申請」に関する意見

NPO法人ラムサール・ネットワーク日本
共同代表 花輪伸一・柏木実・呉地正行・堀良一

意見の趣旨

 沖縄市の新たな東部海浜開発計画「スポーツコンベンション拠点の形成」は、正当性、合理性、科学性に乏しく、経済的合理性もない。この計画をもとに改訂され、今回提出された埋立免許変更申請も同様であり、多くの欠陥があることから申請を取りやめ、情報公開、住民参加の下で再検討するべきである。

理由

1.泡瀬干潟の埋立は、社会的合意形成のない事業である。
(1)過去の計画「国際交流リゾート拠点の形成」は、福岡高裁の判決が確定し、経済的合理性と公金支出が認められていない。今回の計画「スポーツコンベンション拠点の形成」は、埋立面積は半減されたが内容は前計画と大同小異であり、情報公開、住民参加がなされないまま、沖縄市と国土交通省の間で決定されている。住民や議会、利害関係者からの意見聴取、議論は行われておらず、合意形成も行われていない。
(2)国および沖縄県の埋立免許申請は、沖縄市の杜撰な東部海浜開発計画をそのまま認めたものであり、経済的合理性の疑わしいものである。入域観光客数、宿泊者数等の見積もりは統計学的根拠に乏しく、スポーツ等の公共施設は赤字であり、民間施設のホテルも進出が確定せず、ショッピングセンターや健康・医療施設について進出希望はない状況である。市全体への波及効果も疑わしく、沖縄市の財政が破綻する恐れも否定できない。

2.埋立免許変更申請では、泡瀬干潟の生物多様性の保全と活用の視点が欠落している。
1)埋立免許変更申請では、過去の不十分で科学性を欠くアセス結果を引用し、環境への影響は軽微であると繰り返すだけである。このこと自体が科学性を欠いている。埋立面積が半減し、土地利用計画が変更されたことから、新たに正当な環境アセスメントを実施するべきである。
(2)泡瀬干潟は、生物多様性、自然資源、教育、観光、レクリエーションなど、多様な価値を持っている。しかし、新たな埋立計画では、干潟の特性や価値に関する検討がまったくなされていない。
(3)第10回生物多様性条約締約国会議では「愛知ターゲット」が採択され、議長国日本はその実現に大きな責任を負っている。海域の生物多様性の保全は、国際社会では大きな責務となっており、政府と自治体は率先して行動しなければならない。
(4)泡瀬干潟の地球レベルの価値について言及していない埋立免許変更申請には、合理性も正当性もないと言える。

3.埋立免許変更申請では、防災対策が示されていない
(1)埋立免許変更申請では、地震、津波、高潮、台風、集中豪雨などの自然災害について、どのような予防措置、防災対策を取っているのか、記述されていない。
(2)研究者の最近の指摘では、沖縄島沖の琉球海溝を震源とする地震が発生した場合、東海岸では数メートルから20メートルを超える津波が予想されている。しかし、埋立地の地盤高は、新たな計画では、ふ頭用地などでは、埋立土砂の減少により以前の計画(C.D.L.+5m)より1メートルも低く設定(C.D.L.+4m)されており、防災に関する意識が欠落していると言わざるを得ない。

以上

2011年06月16日掲載