泡瀬干潟・浅海域の埋立工事の中止を求める声明(賛同者募集)

 泡瀬干潟を守る連絡会とラムサール・ネットワーク日本は、泡瀬干潟埋立工事の再開に反対し、2011年9月10日に「泡瀬干潟・浅海域の埋立工事の中止を求める声明」を発表しました。この声明は9月末日まで賛同者(個人、団体いずれでも可)を募集し、連名で国や沖縄県、沖縄市等に提出します。みなさまのご賛同をよろしくお願いいたします。

●呼びかけ文 Wordファイル PDFファイル
●声明文   Wordファイル PDFファイル



2011年9月10日
「泡瀬干潟・浅海域の埋立工事の中止を求める声明」にご賛同ください

泡瀬干潟を守る連絡会
ラムサール・ネットワーク日本

沖縄県の泡瀬干潟・浅海域の埋立工事が、早ければ9月下旬にも再開されてしまいます。国際的にも重要な泡瀬干潟を無駄な埋立工事から守るためには、全国からの応援が必要です。ぜひ、私たちが呼びかける声明にご賛同ください。この声明への賛同は、9月末日まで募集し、取りまとめが終わりしだい、国・沖縄県・沖縄市・衆参両議院の国会議員・中央各政党等に届けます。
賛同は、団体、個人を問いません。以下の連絡先までお知らせください。

●声明への賛同の連絡先:泡瀬干潟を守る連絡会
 〒904-2161沖縄市字古謝1171-3 コーポMK 1階
 メール:save_awasehigata☆yahoo.co.jp(☆印は@に置換)
 FAX:098-939-5622
 (問い合わせ)TEL:090-5476-6628(連絡会事務局長・前川盛治)
●期限:2011年9月30日(金)

●カンパのお願い
7月に提訴した埋立中止を求める裁判(第二次泡瀬干潟埋立公金支出差し止め訴訟)の支援などに要する費用が不足しています。声明の印刷や郵送料などの経費もかかります。
 カンパの振込先(泡瀬干潟を守る連絡会)
 郵便振替 口座番号:01760-2-41902  加入者名:前川盛治
 ※払込用紙の通信欄に「カンパ」とご記入ください。

●この声明にご賛同いただける方は、お名前と連絡先をご記入の上、上記の連絡先までメール、FAX、郵便等でお送りください。



「泡瀬干潟・浅海域の埋立工事の中止を求める声明」に賛同します。

 団体名または個人名(肩書きは不要): 
 連絡先(メールアドレス、FAX番号など):




泡瀬干潟・浅海域の埋立工事の中止を求める声明

 沖縄市の泡瀬沖合埋立事業(東部海浜開発事業)で、沖縄県は、去る2011年7月19日、同事業の計画変更に伴う中城湾港泡瀬地区の公有水面埋立免許変更を許可し、また国(内閣府沖縄総合事務局)が申請した新たな公有水面埋立計画を承認した。早ければ9月下旬にも工事再開と言われている。
 しかし、以下に述べるように、沖縄市の新たな土地利用計画においても経済的合理性は認められず、国が進める新港地区整備における東埠頭浚渫は全くその必要性がない。工事による環境への影響は計り知れず、このような無駄な公共事業によって国際的にも貴重な自然環境を破壊することは断じて許されない。
 私たちは、国・沖縄県・沖縄市に対し、以下のことを求める。

  1. 国および沖縄県は、中城湾港泡瀬地区埋立事業の工事を再開することなく、中止すること。
  2. 沖縄市は、新たな東部海浜開発事業計画を撤回し、今後一切、泡瀬干潟・浅海域の埋立地利用を計画しないこと。

*  *  *  *  *  *  *  *  *  *

《沖縄市の新たな土地利用計画に経済的合理性はない》
  1. 規模が縮小した(187ha→95ha)だけで、その内容は経済的合理性がないという判決が確定した旧案と大差ない。
    <参考:新計画案
  2. 需要予測が過大であり、科学的根拠がないペテン・トリックである。
1)施設規模に対する需要を約327万人(平成30年)と推計しているが、沖縄の有名な観光地である首里城180万人、海洋博公園220万人(平成21年度)を上回る想定は、余りにも現実離れしている。観光客数の予測も過大であり、ここ数年550〜600万人程度で推移しているのに対して、予測は650〜850万人と年々増加することになっている。
2)ホテル、コンドミニアム、コテージ進出希望の企業は2社のみ。これも意向であり確定ではない。
3)商業施設や健康医療施設での進出希望企業はない。既に周辺にはショッピングセンターが乱立している。さらにアワセゴルフ場跡地など沖縄市周辺には大型SC建設が今後も予定されており、まさに「パイの奪い合い」になっている。
4)多目的広場、展示、交流(スポーツコンベンション施設)は、毎年1.8億円の赤字を産む施設。周辺の運動施設とも競合する。

《新計画は、災害防止対策がない》
  1. 東日本大震災という悲惨な体験をした私たちは、この教訓を生かさなければならない。しかし、新計画は、埋立地の液状化や津波被害に十分対応できるものとはなっておらず、埋立免許変更申請においては、地震、津波、高潮、台風、集中豪雨などの自然災害について、防災対策が示されていない。しかも埋立地盤高が、国事業で20cm、県事業で1mも下げられている。
  2. この夏の台風でも、埋立予定地の護岸が至る所で破損し、外海に土砂が流出するなど、埋立予定地内外の動植物への被害が広がっている。
  3. 泡瀬地区は、台風や大雨により度々浸水などの被害に見舞われており、津波被害の心配も大きい。
  4. 泡瀬干潟・浅海域の埋立は防災上も問題が大きく、沖縄市は、干潟の埋立に税金を使うのではなく、泡瀬地区の浸水対策など、市民生活の安全・安心に税金を使うべきである。

《新港地区東埠頭浚渫土砂処分場造成としての泡瀬埋立に緊急性、合理性はない》
  1. 特別自由貿易地域(FTZ)構想は既に破綻している。FTZ用地の民間への分譲率は僅か2.1%であり、年を重ねても変化がなく、空き地だらけである。最近ではFTZとは全く関係のないIT企業などの誘致が始まっている。
  2. 新港地区には既に立派な西埠頭があるが、定期船がないためほとんど利用されていない。ここに立地する企業で構成する新港地区協議会は、定期航路の創設や西埠頭へのガントリークレーンの設置などを国や県に要請している。東埠頭の浚渫は優先課題ではなく、その必要性はない。

《埋立再開で貴重な自然環境が破壊されることは国際社会での責務に反する》
  1. 新しい土地利用計画では干潟の98%が保全されるとしているが、干潟とそれに続く浅海域は一つの生態系であり、既に1期工事の影響で2区の自然環境も悪化している。
  2. 泡瀬干潟は、生物多様性、自然資源、教育、観光、レクリエーションなど、多様な価値を持っている。ラムサール条約の登録候補地にもなっており、今年3月には環境省から「埋立は可能な限り回避するよう」指摘されている。
  3. 今回の公有水面埋立免許変更申請では、埋立面積が半減し土地利用計画が変更されたことから、新たに正当な環境アセスメントを行わなければならない。しかし、環境への影響は軽微とした過去の不十分で科学性を欠いたアセス結果を引用するだけで済ませている。泡瀬干潟が持つ地球レベルの価値について言及していない埋立免許変更申請には、合理性も正当性もない。1区の護岸内はまだ生きた海であり、外海と海水の交換があるが、今度の埋立は「空気圧送船による揚土」であり、死の海になり、外海への汚染が拡がる恐れがあるのに「汚濁防止膜」も使わない埋立になっている。
  4. 第10回生物多様性条約締約国会議では「愛知ターゲット」が採択され、議長国日本はその実現に大きな責任を負っている。海域の生物多様性の保全は、国際社会では大きな責務となっており、政府と自治体は率先して行動しなければならない。泡瀬干潟・浅海域埋立工事の再開は、国際社会での責務に大きく反する。

《新政権は、民主的手続きを無視した再開決定を撤回し、泡瀬干潟埋立中止の公約を守れ》
  1. そもそも2010年8月の泡瀬干潟埋立再開の決定が、情報公開、住民参加、合意形成の一連の民主的手続きが欠落したものであった。
  2. 当時の前原大臣は、新たな計画について沖縄市や有識者と協議してきたと述べているが、その過程はまったく知らされず、密室の協議の中で埋立再開が決定された。
  3. 東門市長は市長選の際に、地元の四政党と「経済的合理性がないときは推進しない」という協定を結んでおり、沖縄市民の多くは、その協定を信じて東門市長に投票したのである。経済的合理性について、四政党や市民、環境団体と何の協議もしないままに、大臣の承認を取り付けたことは、選挙民への裏切り行為と言わざるを得ない。
  4. 民主党政策集index2009において、泡瀬干潟埋立事業を一例としながら環境負荷の大きい公共事業の見直しや中止を主張していること、特に干潟やサンゴ礁について保全を図るとしていること、また「コンクリートから人へ」という政権交代の理念は、国民との約束である。前原大臣による埋立再開決定はこれを裏切るものであったが、新政権は、政権交代の原点に立ち返り、泡瀬干潟の埋立事業を中止しなければならない。
  5. 5. 現在、埋立中止を求める裁判(第二次泡瀬干潟埋立公金支出差し止め訴訟)が提起されているが、工事再開を強行し既成事実を積み上げていくことは許されない。少なくとも、裁判の決着がつくまで工事は中断しなければならない。
以上

 呼びかけ団体:泡瀬干潟を守る連絡会、ラムサール・ネットワーク日本
(国、沖縄県、沖縄市等への提出時は賛同団体・賛同者の一覧を添付します)

2011年09月10日掲載