ラムサール条約湿地「渡良瀬遊水地」で3年ぶりのヨシ焼き再開

渡良瀬遊水池をラムサール条約登録地にする会 事務局長 浅野正富

 3月17日、渡良瀬遊水地で3年ぶりのヨシ焼きが行われました。
 本州以南最大のヨシ原を擁し、昨年7月ラムサール条約湿地に登録された渡良瀬遊水地は、全域3300haのうち1500haを占めるヨシ原で、毎年3月にヨシ焼きが行われてきました。病害虫防除、ヨシが燃えた後の大地に芽吹くトネハナヤスリ等の希少植物群落の維持、ヨシの良好な生育等を目的としています。
 しかし、2011年3月11日の東日本大震災以降、計画停電や福島第一原発事故による放射性物質の影響で、ヨシ焼きは2年続けて中止されました。その結果、ヨシの生育が悪くなり、ツル草も繁茂し、トネハナヤスリ等の希少植物の芽吹きも減少して、ヨシ原の生態系の劣化が明らかになりました。昨年11月、「渡良瀬遊水池をラムサール条約登録地にする会」をはじめ環境団体3団体と治水団体が共同で、遊水地を管理する国土交通省の利根川上流河川事務所に対して、放射性物質に関する調査を行い安全性を確認した上でヨシ焼きを再開することを要望しました。今年に入り、放射性物質に関する調査が行われ、安全性に問題がないことも確認され、ようやく再開にこぎつけたのです。
 3月17日は天候にも恵まれ、ヨシも良く焼けました。4月にはトネハナヤスリ等の希少植物が盛大に芽吹き、その後、新芽のヨシが競って伸びていくでしょう。3年ぶりにヨシ焼きができた渡良瀬遊水地の春に、ほっと胸をなでおろしています。

watarase-yoshiyaki.jpg
ラムネットJニュースレターVol.12より転載)

2013年04月21日掲載