「田んぼの10年プロジェクト」に参加して─人と自然へのやさしさをもとめて─

(有)伊豆沼農産 佐藤耕城

 宮城の県北に位置する登米市迫町には新田という地区があります。ラムサール条約登録湿地の伊豆沼があり、夏は蓮が大輪の花を咲かせ、冬は白鳥や雁が群れをなして飛び交う光景が広がります。当社は、この豊かな自然の中で「農業を食業に変える」という経営理念のもと創業しました。農村の「場」と、農村で生産した「もの」と、農村で暮らす人たちの「こころ」を組み合わせた、新しい農村産業の実現を目指している会社です。また、行政・企業・環境保護団体・地域住民団体等からなる「伊豆沼から全国へ超元気を発信する協議会」をつくり、地域の農業や食文化を守り育てながら、環境保全と産業振興が共存し、人と自然が一体となる地域を目指して日々活動しています。
 水田の生物多様性向上に関しましては、ふゆみずたんぼでの食農環境教育プログラムを実践しています。現在は地元小学校と連携し、田植えや生きもの調査、収穫などの体験プログラムを通じて、次代を担う子供たちに食農・環境の大切さを伝えています。また、仙台を中心とした都市部の消費者との交流会を開催し、生物多様性に基づいた農業と環境の魅力について理解を深めてもらう取り組みを行っています。

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ふゆみずたんぼの生き物調査
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ふゆみずたんぼの田植え(新田小学校総合学習)

 田んぼの生物多様性向上10年プロジェクトに参加してからは、水田の生物多様性向上に関する広報、教育、普及啓発を推進すべく、新たな体験プログラムの計画立案、情報発信に注力しています。今後もこのような取り組みを続け、地元住民の方々には自分たちが住む地域の魅力や都市部で果たしている役割を、都市部に住む方々には自分たちの食生活が、農村や環境、そこに住む生き物たちによって支えられていることへの気づきを得る機会を創り出していきます。
 今後はプロジェクトに参加している皆さんとよりいっそう情報交換や連携を深め、環境負荷の少ない持続可能な社会の構築を目指していきたいと思います。

ラムネットJニュースレターVol.13より転載)

2013年10月12日掲載