泡瀬干潟の埋め立て問題で新たな「勝訴」

泡瀬干潟を守る連絡会事務局長/ラムネットJ理事 前川盛治

■泡瀬干潟埋め立ての問題とは
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泡瀬干潟の地盤改良工事のために本土マリコンの船がやってきた。写真は新港地区の国の港に台風で避難した、日本海工のサンドコンパクション船

 沖縄県本島中部に県第2の都市沖縄市があり、東に南西諸島最大の泡瀬干潟があります。ここは環境省もラムサール条約登録の候補地と認める日本でも生物多様性を誇る極めて貴重な干潟です。この干潟に、1990年頃に出島方式の埋め立て計画ができましたが、国の援助が得られず、夢物語でした。ところが1998年、泡瀬干潟の北側にある、うるま市・新港地区(ここも埋め立て地)の北側がFTZ(特別自由貿易地域)に指定され、東埠頭の浚渫に国(沖縄総合事務局)が参画し、泡瀬干潟が浚渫土砂の「処分場」として埋め立てられることになってしまいました。アセスは、旧アセスと新アセスの狭間で行われ、「方法書」の提出・住民の意見提出もなく、また絶滅危惧ⅠA類のクビレミドロ、トカゲハゼなどの保全については、「移植」「人工干潟で保全する」など、専門家が困難であるとしたのに、強引に推し進められました。またリュウキュウアマモなどの大型海草も専門家が移植は困難であるとしましたが、まずは「機械移植実験」を行い、結局大失敗しました。あとは「被度が減少したので移植はしない」と全く無責任な態度で残る海草を埋め立ててしまいました。
 サンゴについても「埋め立て地にはサンゴは少ない」と嘘をつき、連絡会の調査で嘘がバレたら、一部を「移植」でごまかし、残りは生き埋めの姑息な態度です。
 着工されてからも新種、貴重種、絶滅危惧種が数多く発見・確認されましたが、埋め立て地内は保全しない(生き埋め)になりました。泡瀬埋め立ては環境に全く配慮なしで強行されました。
 経済的な合理性(埋め立て地の利用計画、財政的な問題など)も全くありませんでした。結局第一次泡瀬訴訟・控訴審で「経済的な合理性はない、公金は支出するな」の判決が言い渡され、計画は「中断」されました。私たちは、埋め立てが中止された、と思いました。
 ところが沖縄市が新たな計画案を2010年7月30日に突如発表し、それを国に8月3日(発表から僅か4日後)に提出しました。民主党政権は、これまで「泡瀬干潟埋め立ては見直す」としていた方針を180度転換し、沖縄市が提出したその日に承認し、埋め立て事業の再開を表明してしまいました。「埋め立てに経済的合理性がないときは推進しません」と公約した沖縄市長も民主党政権も公約を裏切りました。2011年7月には埋め立てが承認・免許交付され、10月から工事が再開されています。私たちも、2011年7月には第二次泡瀬訴訟を提訴し、これまで15回の口頭弁論が終わっています。

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最近の掘削航路での異変(沖側から移動してきた砂が航路に落ち込んでいる。東側砂州の衰退は、航路があるため沖から砂が補給されないためである)
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弁護士報酬請求事件の判決の日の記者会見(2013年10月1日、県庁記者クラブ)

■弁護士報酬請求事件訴訟での原告勝利
 私たちはまた、第二次泡瀬訴訟と同時に、「弁護士報酬請求訴訟」も取り組みました。これは地方自治法で「住民訴訟で住民側が勝訴した時、弁護士報酬を自治体に請求できる」という規程に基づくものです。控訴審判決時点では請求するつもりはありませんでした。しかし、県・市が新たな埋め立てを強引に進めるため、それに抗議し、反省を求める意味で請求しましたが、全く回答がなかったために2012年2月に「提訴」しました。
 その判決が今年の10月1日に言い渡され、私たちが「勝訴」しました。県・市も控訴せず、判決は確定しました。沖縄では住民訴訟で勝利したのは泡瀬裁判が初めてであり、また「弁護士報酬請求訴訟」の勝訴も初めてです。まさに画期的な出来事でした。
 この勝利は、第二次訴訟を闘う私たちの励みになりました。第二次訴訟も「弁護士報酬請求訴訟」を担当した3名の裁判官が担当すること、また、第一次訴訟で、「沖縄県、沖縄市が敗訴したこと」を裁判所が明確に認め判決したことは、第二次訴訟に大きく関係すると思われます。今、闘っている第二次訴訟では、先の判決で示された「新たな土地利用計画に経済的合理性があるか否かについては、従前の土地利用計画に対して加えられた批判を踏まえて、相当程度に手堅い検証を必要とする」とした見地から、徹底した検証を期待するものです。

■今後の展望・課題
 第二次訴訟は、準備書面提出終了(原告10月29日、被告11月26日)、裁判所の論点整理、証人尋問(来年5、6月頃)を経て、結審、判決(来年12月頃?)の予定です。
 今、沖縄市側は、弁護士報酬裁判で敗訴したこともあり、相当な危機感を持ち、沖縄県や国に「埋め立て事業の早期完成、前倒し実施」を要請し、国・県も同じ意向であると、新聞は報じています。既成事実を積み上げ、市民に諦めさせようとの作戦であり、許されません。
 2010年の市長選で東門氏を支持した革新側が、来年の市長選では東門氏を支持しないことを決めたことなどもあり、東門氏は「不出馬」を表明しました。今、革新側は政策と人選のため、合同の会議を持ち、取り組みを進めています。来年の市長選挙でどのような政策を掲げ、候補者を決定し、市民に訴えるか、重要な局面を迎えています。
 埋め立て事業も急ピッチで進められています。私たちも全国的な支援を受けながら、今どういう闘いが求められているのかを検討し、運動を提起していきたいと思います。泡瀬干潟を守り、事業を中止させ、再生事業を取り組ませ、ラムサール条約に登録させるために、共同の闘いを前進させましょう。
ラムネットJニュースレターVol.14より転載)

2013年12月10日掲載