湿地巡り:宍道湖(島根県)

公益財団法人ホシザキグリーン財団 事業課 宍道湖グリーンパーク 観察指導員
横尾 誠

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 島根県東部の松江市・出雲市にまたがる宍道湖は日本で7番目に広い湖で、淡水と海水が混ざり合う汽水湖です。周囲長はマラソンコースよりも少し長い約47kmといわれる一方、面積の割には浅く、平均水深が4.5m、最深部でも6m程度しかありません。
 宍道湖と東隣にある中海は、松江市内を流れる大橋川でつながっています。両湖はラムサール条約への登録は別々ですが、同じ日(2005年11月8日)に登録されました。
 宍道湖は、エイやスズキといった日本海−境水道−中海−宍道湖を往来する生物と、コイやフナといった淡水の生物が混在する不思議な湖です。宍道湖を代表する底生生物であるヤマトシジミが多く生息するのは、薄い塩分濃度(海水の10%程度)によるものです。
 宍道湖では毎年2万羽以上、多い年にはその倍以上の水鳥が飛来します。とりわけキンクロハジロ・スズガモ・マガンの3種は、東アジア地域に生息する個体数の1%以上が利用し、ラムサール条約登録基準の1つを満たします。キンクロハジロを例にとると、多いときには東アジアに生息する推定個体数の1〜2割がこの湖に飛来することが近年の調査結果から分かっています。また3〜4千羽のマガンの越冬には、宍道湖だけでなく、西側に注ぐ斐伊川とその両脇に広がる出雲平野の存在が大きく関わっています。
 このような自然環境の下、宍道湖の西岸には当財団が管理運営する宍道湖グリーンパークと島根県立宍道湖自然館ゴビウスがあります。湖を間近に臨むグリーパークの観察舎からは望遠鏡や双眼鏡で水辺の鳥を観察でき、学習型水族館のゴビウスではシンジコハゼをはじめとする汽水域の生物や島根県内の河川に生息する生物を見ることができます。
 また毎年小中学生の参加を募り『ラムサール探偵団』を結成し、体験を通じ楽しみながら宍道湖周辺の自然を探り・学ぶ活動も行っています。

観察舎からの眺め。遠くに大山が見える
観察舎からの眺め。遠くに大山が見える
キンクロハジロの群れ
キンクロハジロの群れ

2015年02月16日掲載