湿地巡り:高松干潟(三重県)

高松干潟を守ろう会 水谷いずみ

takamatuhigata-map.jpg 高松干潟は伊勢湾の奥、三重県北部を流れる朝明川河口に位置し、28haの砂質干潟が広がります。周りは工業地帯に挟まれていますが、沖を遮る物がないのが幸いし景観は最高です。春から夏は潮干狩りや水遊び、秋から冬、初春まではシギ・チドリ等の渡り鳥の観察や釣りが楽しめます。近年はマリーンレジャーも賑わい、四季の織りなす様は訪れる人たちの癒しの場になっています。
 私たちの活動は干潟の生物、植物調査と観察会、それと清掃活動です。自主活動の一つとして「春の干潟まつり」を大潮の日に開催しています。干潟入口に砂団子を作るコメツキガニ、少し進むとマメコブシガニ、潮だまりにオサガニと個体の形態や習性を観察しながら干潟との関わりを伝えています。また、近隣の小中学校や企業から依頼された観察会も案内させていただいています。そして2011年3.11以降は干潟で活動する際には「避難の心構え」も必ず伝えることにしました。

高松干潟での観察会
高松干潟での観察会
ハクセンシオマネキの調査
ハクセンシオマネキの調査

 昨年、ハクセンシオマネキの生息域と個体数調べをしました。調査は8月2回、調査員延べ20名、10m2 15区画、平均個体数136個体でした。調査方法は目測で一区画ごとに調査員がハクセンシオマネキを確認、その巣穴横に旗を立て、個体数と区画No.を記録。一年目の調査記録としました。この調査は5年継続を目標にしています。今回の調査を終え、ハクセンシオマネキの天敵は何?と考えた時、私は経済優先のために生息地環境を脅かしたり奪ってしまう人、自然災害、打ち上がる大量のゴミと考えました。「以前は潮が引くと白いハサミを一斉に振りはじめ歩くところもないくらいいた」と聞くと、そうか何十年ぶりに彼らの棲みかとなる環境が戻ってきたのかと、うれしくなりました。今後、個体数が増えるのを期待し、生態系へのダメージを少なくできるよう努力していきたいと思います。
干潟は海の入口、恵みを育て、私たちに生きる糧を与えてくれるところです。高松干潟を守ろう会はここをずーっと見守り活動を進めていきます。

ラムネットJニュースレターVol.20より転載)

2015年09月18日掲載