行徳野鳥観察舎の存続と再建の要望書を提出

 千葉県市川市にある行徳野鳥観察舎は、老朽化、耐震性低下のため、2015年末に休館となりました。千葉県のホームページでは、「今後については、現在千葉県行政改革審議会に諮問されている公の施設の見直し方針等の結論も踏まえて検討していきます」とあり、そのまま廃館となる可能性があります。そこで、ラムサール・ネットワーク日本(ラムネットJ)では、下記の要望書を、千葉県知事と千葉県行政改革審議会会長宛てに、2016年1月18日に提出しました。



要 望 書
2016年1月18日
千葉県知事 森田 健作 様
千葉県行政改革審議会会長 辻 拓也 様

特定非営利活動法人 ラムサール・ネットワーク日本
 共同代表 安藤よしの、柏木実、呉地正行、堀良一、前川盛治


行徳野鳥観察舎の存続と再建を要望します

 私たちは、ラムサール条約をもとに、湿地の保全と賢明な利用を目指して活動しているNPO法人です。
 貴県におかれましては、市川市の行徳野鳥観察舎について、老朽化と耐震性の低下により、昨年末より休館し、廃館の検討も行っていると伺っています。
 しかしながら、私たちは、湿地保護の上で、また社会的にも重要な役割を持っている行徳野鳥観察舎の存続と再建を強く要望したいと存じます。

 存続と再建を要望する理由は、以下のとおりです。

  1. 行徳鳥獣保護区は、開発の進んだ東京湾奥部に再生された貴重な自然環境であり、生物多様性を保全する上で重要な湿地環境です。行徳野鳥観察舎は、環境教育、人と自然の触れあいの場として、重要な社会的役割を果たしており、たいへん価値の高いビジター・センターです。
  2. 行徳は、1960年代後半の市民運動と行政機関の決断によって、日本で最初に沿岸湿地の保護と活用が実現した地域です。保護区とビジター・センターの設置は、行徳がモデルとなり、その後、大阪市や名古屋市でも実現されました。行徳野鳥観察舎は、まさに歴史的な存在です。
  3. 1975年に行徳の湿地が造成され、1979年に観察舎が建設されました。それ以来、行政施策と市民参加によって、湿地再生、環境教育などの活動が継続されています。地域の住民や企業、ボランティア、小中学校等の教育機関、行政機関など、多様な主体の参加による協働は、地域社会に大きく貢献しています。
  4. 環境省は、日本の重要湿地500およびラムサール条約湿地潜在候補地リストに「東京湾の干潟・浅瀬」を含めています。将来、これらの干潟・浅瀬をラムサール条約に登録する場合には、隣接する行徳鳥獣保護区と宮内庁新浜鴨場は、湾岸の重要な淡水性湿地、水鳥の生息場所として不可欠です。その際、行徳野鳥観察舎は、条約湿地のビジター・センター、インフォメーション・センターのひとつとして重要な役割を担うことが期待されます。

 以上のことから、貴職におかれましては、行徳野鳥観察舎の存続と再建について、ご高配下さるようにお願い致します。

2016年01月19日掲載