子どもたちのためにサンル川とサクラマスを残そう!

北海道の森と川を語る会/サクラマスまもり隊!代表 小野有五

サンル川(左)と建設中の魚道(右端)

(1)サンル川(左)と建設中の魚道(右端)

 道北を流れる天塩川の支流、サンル川は、日本では唯一、河口から200kmにもわたってサクラマスが遡上、産卵する河川です。しかし、北海道開発局はそこに巨大なサンルダムを計画し、長年にわたる反対運動にもかかわらず、その建設を決定してしまいました。まだダム本体の工事にはいたっていませんが、それに先立って、長大な魚道の工事が進められています(写真1)。豊かな河畔林の間を流れるサンル川に対して、建設中の魚道はむきだしの単なる水路であり、このような水路をサクラマスたちが上っていけるかどうかきわめて疑問です。魚道の入り口が土砂や枯葉などでふさがれてしまえば、魚道には水さえ流れないでしょう。
 私たちは、ほかの自然保護団体とともに開発局に質問状や要望書を送り、魚道の改善を要求するとともに、サクラマスの十分な遡上や降下が確認できるまでは、ダム本体の着工はするべきでないと主張してきました。しかし、開発局は、私たちの質問状にもほとんどまともに回答することなく、また最近では、これまで予算内で行うとしてきたサンルダム工事の予算を一挙に30億円も増やすなど、理不尽なことを行っています。
 サンル川があまりに遠くにあるため、そのすばらしさを知っている人が少ないこと、地元の下川町が早くからダム建設に賛成してしまい、地元で反対の声を上げにくいこと、サクラマスという魚の認知度も、サケやイトウなどに比べて低いことなどから、サンルダムへの反対運動は、なかなか全道的、全国的にもりあげにくいことも事実です。

参加者とサクラマスを味わう
(2)参加者とサクラマスを味わう
子どもにとっての川の自然の大事さを語った橋本さん
(3)子どもにとっての川の自然の大事さを語った橋本さん

 しかし私たちは、サンル川とサクラマスを子どもたちに残すために、あきらめず、さまざまな活動を続けています。6月には、「ダムネーション」の映画上映会をパタゴニアの協力を得て行い、50名を超える参加者がありました。そこでは、日ごろ、身近でないサクラマスの資源としての重要性を知ってもらうために実際にサクラマスをみんなで食べたり(写真2)、サクラマスまもり隊!のメンバーである橋本泰子さんが、お子さんを連れてサンル川に何度も行って川遊びを楽しんでいる様子を紹介、子どもにとっても危険がなく、豊かな自然を楽しめるサンル川のすばらしさをスライドや動画で知ってもらいました(写真3)。
 私たちは、今後も川のツアーなどを通じてサンル川の魅力を伝えながら、なんとかその自然を守っていきたいと思っています。

ラムネットJニュースレターVol.24より転載)

2016年09月18日掲載