沖縄・泡瀬干潟埋め立て第二次訴訟、上告棄却報告および泡瀬干潟のラムサール条約湿地登録の課題

泡瀬干潟を守る連絡会/ラムネットJ共同代表 前川盛治

 2005年の第一次訴訟以来、12年余にわたって闘われた泡瀬干潟訴訟は、2017年10月18日付の最高裁からの「棄却通知」で終止符が打たれました。私たちはこれに対し「抗議声明」を記者会見(10月27日)で公表しました。二次訴訟は決着しましたが、成果もありました。一つは、一次訴訟で勝訴し、当初の187haの埋め立て計画を約半分の95haに縮小させたこと、もう一つは、沖縄県が残った泡瀬干潟のラムサール条約湿地登録に向けて鳥獣保護区の設定に動き出したことです。また、この闘いを通して、干潟や自然環境を守ることの大切さを広く県民に知らせたことも大きな意義があったと確信しています。

泡瀬干潟1
10月27日の記者会見。上告棄却に対する抗議声明を公表
泡瀬干潟2
ヤビーポンプを使った干潟観察会(9月23日)

 ところで、沖縄県が進めている第12次鳥獣保護管理事業計画(2017〜2021年度、5年)の中の、泡瀬干潟での鳥獣保護区は650haであり、そのうち280haを特別保護区に設定することになっていますが、現時点でこの県の構想に「沖縄市が同意していない」ために、県の作業が中断しています。ラムサール条約湿地登録には、地元(沖縄市)の同意が前提であることは周知のことです。
 県の鳥獣保護区設定に対し、沖縄市は「東部海浜開発計画の事業完了後に、再度、鳥獣保護区および特別保護地区指定について検討を行うことが望ましい」という態度であると、県(自然保護課)は説明しています。東部海浜開発計画の事業完了は早くても2020年度であり、沖縄市の態度では、しばらくは鳥獣保護区の設定は困難になります。沖縄県の鳥獣保護区の構想は、現在の東部海浜開発計画を容認(県も埋め立て事業者である)し、埋め立て地以外の干潟を保護区に設定するものであり、東部海浜開発計画に何ら支障を及ぼすものではありません。沖縄市の意見は不可解です。
 私たちは、沖縄市長に対し、沖縄県が進める第12次鳥獣保護管理事業計画への賛同願いを提出し、12月27日に面談しました。対応した仲本副市長は「県が、1月下旬に面積を説明すると聞いている。それを受けて検討したい」と回答し、課題が先送りされました。

ラムネットJニュースレターVol.30より転載)

2018年03月02日掲載