サロベツ周辺の風車建設計画

サロベツ・エコ・ネットワーク 長谷部真

サロベツから見た利尻山とマガンの群れ

サロベツから見た利尻山とマガンの群れ

 北海道北部にあるサロベツ湿原とその周辺の最大の魅力は利尻山が織りなす多彩な景観にあります。夏から春にかけて湿原に咲く花々や年中を通して現れる渡り鳥の背後には何もない広々とした空間があります。この地域の最大の魅力とも言える広々とした空間が今危機に瀕しています。サロベツは日本海に面し、国内で有数の風が強い地域でもあるため、現在200基以上の大型の風力発電計画があります。この風力発電施設によって、サロベツやその周辺の原風景が損なわれようとしています。風力発電計画はサロベツの国立公園内にこそありませんが、それを取り囲む丘陵や海岸沿いに計画されているので、どちらを向いても風車が見える景観が生まれてしまいます。これに加えて、つい最近では海岸沿いに小型風車の建設が目立ってきました。
 風車による影響は景観だけではありません。サロベツとその周辺はロシアと日本を結ぶ国際的に重要な渡りの中継地に位置します。春と秋には多くのガン・ハクチョウ類がサロベツの湖沼に立ち寄り、冬にはロシアから多くのオオワシやオジロワシが稚内の宗谷岬に渡ってきます。サロベツ・エコ・ネットワークはこれらの計画に対し意見を述べ、情報を発信する活動を続けてきました。また、(公財)日本野鳥の会による支援を受けながら、風車に関する勉強会を開催し、風力発電による渡り鳥への影響の調査を行ってきました。その結果、大きな影響が懸念されることがわかりました。
 私たちは自然エネルギーとしての風力発電の重要性を理解していますが、風車の建設に当たっては、地域の団体と十分に協議した上で、国立公園のある地域の重要な資産である景観や野生生物を損なうことがないように、適切な場所に設置すべきと考えます。
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ラムネットJニュースレターVol.31より転載)

2018年05月04日掲載