報告:田んぼの生物多様性向上10年プロジェクト 第8回 全国集会in東京臨海副都心とエコプロ2019

ラムネットJ共同代表 金井 裕/同理事 後藤尚味

 田んぼの生物多様性向上10年プロジェクト(田んぼ10年プロジェクト)の全国集会が、2019年12月7日に、東京ビックサイト近くの東京都江東区有明のTFTビル東館で開催されました。
 プロジェクト発足より9年目となる今回は、プロジェクトの総括的な会議として、全国からエントリーいただいた方の事例発表の他、各地で開催してきた交流会などのその後の活動の展開について発表いただきました。そして最後には総括会議として、これまでの取り組みを振り返り、次の10年に向けた取り組みについて議論しました。

全国集会in東京臨海副都心の会場の様子
全国集会in東京臨海副都心の会場の様子
次の10年のプロジェクトについて説明するラムネットJの呉地正行理事
次の10年のプロジェクトについて説明するラムネットJの呉地正行理事

 第1部は「田んぼの生物多様性を守り育てる地域の多様な取り組み」としてエントリーされた事例発表で、TTP─田んぼを食べるプロジェクトの林鷹央さんから、田んぼの動植物を食べることで田んぼの姿に触れてもらう活動について、株式会社アレフの荒木洋美さんから、経営するレストランチェーンのびっくりドンキーで、生物多様性に配慮して生産したお米を提供していることの企業としての考え方、高知県の農と生きもの研究所の谷川徹さんと徳島県の里山の風景をつくる会の近藤こよ美さんから、生きものを重視した稲作を始めたきっかけや観察会などを通した地域への普及活動について、長野県の日本農村医学研究所の安藤満さんからは、現代でも深刻な農薬被害への取り組みについて報告いただきました。
 第2部は「全国集会・地域交流会のその後」として、大分県自然環境保全検討委員の舩橋玲二さんから、2016年の地域交流会in豊後大野の開催後、大分県や豊後大野市の生物多様性保全施策の現況、かわごえ里山イニシアチブの増田純一さんからは、2018年の第3回全国集会in川越の開催が地域の活動促進に大きく寄与したこと、豊田市自然観察の森チーフレンジャーの川島賢治さんからは、2018年の地域交流会in豊田市開催後のサシバのすめる森づくりの活動状況、ふぉれすとりーふぁーむ桜の樹の岸本拓哉さんからは、2019年の地域交流会in福井に参加して感じたことの報告をいただきました。
 第3部の「田んぼの生物多様性向上10年プロジェクト総括会議」では、ラムネットJの高橋久共同代表、金井裕共同代表、呉地正行理事から、プロジェクト参加者からの意見、行政や全国的なNGOとの連携、プロジェクトの目指してきたことの報告のあと、安藤よしの理事の進行で、目的を同じくする団体組織の連携づくりなど、田んぼでの生物多様性保全やラムネットJに求められることについて、意見交換が行われました。

全国集会in東京臨海副都心に参加された皆さん
全国集会in東京臨海副都心に参加された皆さん
エコプロ2019でのラムネットJ展示ブース
エコプロ2019でのラムネットJ展示ブース

●エコプロ2019
 12月5日~7日の3日間、東京ビッグサイトにて「エコプロ2019」が開催されました。ラムネットJがブース出展するのは3年間ぶりになります。
 今回は、新しい試みを3つ行いました。①大型モニターを使い、紙媒体ではなく電子媒体による会員活動紹介を行ったり、新規に制作した琵琶湖のゆりかご水田の動画、過去の集会の動画等を上映したりしました。②隣接ビルで同時開催の田んぼ10年プロジェクト全国集会を中継し、エコプロ来場者にも集会の様子を伝えました。③ブース当番に、地方で活躍する好奇心旺盛な若者を起用しました。福岡県の糸島から2名、宮城県の蕪栗沼から1名が参加しました。
 その結果、田んぼ10年プロジェクトだけでなく、湿地のグリーンウェイブの新規の申し込みがありました。

2020年03月05日掲載