湿地巡り:川南湿原(宮崎県)

川南町教育委員会教育課 德田敬太

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 川南湿原植物群落は、川南町のほぼ中央部に位置し、国道10号線から程近く、標高はおよそ50m前後、面積はおよそ3万3000m2で、昭和49年に国指定天然記念物となりました。植物の種類は、78科298分類で、湿性植物が約110種類、そのうち約50種類が希少植物です。
 川南湿原は、かつて富栄養化が進み、滅失の危険性が高かったため、保護を目的に1995年度から2010年度にかけて整備を行いました。現在は湿原環境の改善も進んでおり、一度絶滅しながらも50年ぶりに復活したヒュウガホシクサをはじめ、さまざまな湿原植物の増殖や復活が確認されています。
 川南湿原は、毎年4月15日頃に開園し、4月~5月には、トキソウやハルリンドウなど小さな花々が出迎えます。7月に入ると、多くの種類のトンボが飛び回り、湿原を代表する植物であるサギソウも顔を出します。9月に入ると、ヒュウガホシクサをはじめ、エダウチシロホシクサなどの希少植物が顔を見せ始めます。そして11月30日、川南湿原は閉園を迎えます。

川南湿原の風景
川南湿原の風景
トンボ観察会の様子
トンボ観察会の様子

 川南湿原により多くの人に来ていただくための手立てとして、町内小中学校の校外授業や生涯学習講座での活用のほか、希少植物やトンボの観察会なども行っております。日常の管理は、ボランティア団体「川南湿原を守る会」に行っていただいており、来園者から園内のガイドの依頼があった場合も、守る会の会員が行っております。
 川南湿原では、現在も環境保全活動が続いており、5月には、教育委員会の職員と守る会による除草作業を、1月にはボランティアを公募して草出し作業や火入れを行います。湿原を痛めないよう気を付けながら作業をし、4月の開園に向けて来園者を迎える準備を行っています。
 整備前は、関係者しか立ち入らない草地だったこの場所に、今では数々の湿原植物たちが姿を見せ、多くの人の目を楽しませています。これからも湿原植物の保全活動を行いつつ、町民に親しまれる憩いの場としての湿原を目指していきたいと思います。

ラムネットJニュースレターVol.40より転載)

2020年09月06日掲載