泡瀬干潟の鳥獣保護区(特別保護地区)の早期指定を求める要望書を沖縄県に提出

 ラムサール・ネットワーク日本(ラムネットJ)は、泡瀬干潟を守る連絡会、日本自然保護協会と連名で、以下の「泡瀬干潟の鳥獣保護区(特別保護地区)の早期指定を求める要望書」を、2020年10月28日に沖縄県に提出しました。


2020年10月28日
沖縄県知事   玉城 デニー 様
沖縄県環境部長 松田 了   様

泡瀬干潟を守る連絡会       
共同代表 小橋川共男・漆谷克秀 
ラムサール・ネットワーク日本   
共同代表 陣内隆之・金井 裕・ 
 上野山雅子・高橋 久・永井光弘
公益財団法人 日本自然保護協会   
理事長 亀山 章        

泡瀬干潟の鳥獣保護区(特別保護地区)の早期指定を求める要望書

 私たちは泡瀬干潟の保全に長く関わってきた立場から、沖縄県に多くの要望を出してきました。直近では、2020年9月11日に、「泡瀬干潟の鳥獣保護区(特別保護地区)の2020年度内の指定を求める件に関する要望書」を提出しました。
 自然保護課比嘉貢課長氏には次のようなご説明をいただきました。「自然保護課長が沖縄市に保護区設定の意義を直接説明し、理解を求めた。埋立地の事業進行への影響、将来人工島と県総合運動公園を結ぶ人道橋建設ができなくなるのではないかなどの沖縄市の懸念については、問題が生じないことを説明した」
 私たちは、次のラムサール条約締約国会議(COP14, 2021年11月)に間に合うよう、作業を促進していただくように要請し、また、沖縄県の案が実現することが最善であるが、どうしても沖縄市の同意が得られないならば、沖縄市の意見(埋立地を鳥獣保護区から外す)を受け入れて早期の合意を得るようにしたらどうかということも提案しました。
 その後、琉球新報(9月25日)に、沖縄市の東部海浜開発事業推進議員連盟が県環境部長に保護区設置反対の意見書を手渡したと報じられました。その記事の中で松田環境部長は、「埋立地が鳥獣保護区に指定されることにより、埋立地の開発事業は規制されない」「特別保護区での事業についても、渡り鳥の飛来に影響を及ぼさない場合は、工作物(人道橋建設)の建設は認められる」と説明し理解を求めています。また、私たちも提案した「埋立地を保護区から除外する」ことについても、沖縄市の東部海浜開発事業推進議員連盟に、「人工島は除外しても鳥獣保護区の目的は達成されると思う。除外も検討している」ことも話したと報道されています。
 さらにその後、9月30日の県議会で、島袋恵祐県議の質疑「泡瀬干潟には現在、人工島の埋立てが進んでいます。県が指定を目指す鳥獣保護区、特別保護区は人工島の埋立てに規制がかかるのか、埋立てに影響が出るのか伺います。」に対して、環境部長は、「当初私どもが沖縄市に示した案では、人工島は鳥獣保護区に含まれておりました。鳥獣保護区になりますと基本的に鳥獣の捕獲のみが禁止行為になりますので、建設等に影響は生じないものというふうに考えております。」と答弁し、また県が泡瀬干潟を鳥獣保護区、特別保護地区に指定をする理由については、次のように述べています。
 「平成13年に環境省が日本国内における重要な湿地500を選定した際に、泡瀬干潟が含まれていたこと、さらにその後環境省が、平成22年にラムサール条約湿地候補地を選定した際にも泡瀬干潟が含まれていたこと、さらに3番目としまして、平成28年に重要湿地500を見直した際にも、泡瀬干潟が重要な干潟であると位置づけられていたこと、そういうことを含めましてラムサール条約の登録を目指すという観点から、鳥獣保護区の指定を考えているわけでございます。
 また、ラムサール条約に登録しました場合のメリットでございますけれども、ラムサール条約に登録されますと国際的に重要な湿地であるということが表明あるいは世界的に認定されるわけですので、そのことによって観光振興あるいは地域の経済活動そういったものにも寄与するものと考えております。また当然そういった重要な湿地であるということで、地域の方々の保全活動、そういったものも盛んになるものと考えております。
 このようにラムサール条約の目的としましては、いわゆるワイズユースと言いまして利用と保全をバランスよく図っていくと。そのことによって地域の振興も図っていくんだという理念がございます。泡瀬干潟のラムサール条約湿地登録におきましても、私どもそのような観点で登録に向けて作業を今進めているところでございます。」
 今後の対応については、「先日、沖縄市議会の有志の方々からも、やはりまだ懸念があるというふうな御指摘も受けております。そういった御指摘もございますので、このラムサール条約登録に向けた県の鳥獣保護区指定の考えをしっかりと説明しまして、その上で地元の方々の賛同を得られるように引き続き努力してまいりたいと考えております。」と答弁し、玉城知事も「この件に関しては沖縄市のほうからも様々要望が出ております。しっかり地元との意見交換そして関係団体ともそごを来すことがないように、十分そのような話合いを進めていければというふうに思います。」と答弁しております。

 私たちは以上の経緯から以下のことを要望します。


  1. 9月11日の私たちの要望、9月24日の沖縄市の東部海浜開発事業推進議員連盟の意見書、9月30日の県議会での質疑をふまえ、沖縄県は沖縄市にどのような説明をし、理解が得られるようにしたのか、埋立地を鳥獣保護区から外すという沖縄市の意見についての、沖縄県のお考えをお伺いしたい。また、沖縄市との今後の話し合いの日程を明らかにしていただきたい。
  2. 2021年11月(予定)に開催されるラムサール条約の次回の締約国会議(COP14)にて登録されるためには、遅くとも2020年度内に泡瀬干潟の鳥獣保護区(特別保護地区)の指定が終了し、環境省が国の鳥獣保護区特別保護地域に指定する必要があります。故翁長雄志知事、玉城デニー知事は、早期の指定実現に取り組むと県議会で約束しています。現在の進捗状況で、2020年度内の指定は可能かどうか、見解を明らかにしていただきたい。
以上

2020年10月30日掲載