世界湿地の日に全ての湿地の十全な保護を求める共同声明

 ラムサール・ネットワーク日本(ラムネットJ) は、2022年2月2日、「世界湿地の日に全ての湿地の十全な保護を求める共同声明」を韓国湿地ネットワーク(KWNN)と共同で発表しました。


2022年2月2日

世界湿地の日に全ての湿地の十全な保護を求める共同声明

ラムサール・ネットワーク日本(RNJ)
共同代表 金井 裕
     永井光弘
韓国湿地NGOネットワーク(KWNN)
運営委員会委員長 キム・スンレ

 今日は世界湿地の日です。1971年2月2日、ラムサール条約の締結を記念し、全世界で条約の内容と湿地の価値の重要性を認識するための記念日です。特に2022年は国連総会(2021年8月30日)が「世界湿地の日」を記念日として認めた元年です。これは、健全で充分に機能を発揮できる自然湿地の保全が、人間の生活と持続可能な発展にとって重要であり、湿地の提供する生態系サービスが食糧安全保障から気候変動の緩和まで広範囲に及んでいることを、国連全体の問題として重く見た結果なのです。
 ところが、このように人間にとってかけがえのない湿地は、1970年以来すでに35%が消失しました。また、残された湿地の質も、排水工事、汚染、侵略的生物、持続可能でない利用、流域環境の分断、気候変動により悪化しています。(註1 GWO 2018)
 2021年12月に開催した日韓NGO湿地フォーラムにおいて、私たちが日韓の湿地保護区の状況を点検したところ、どちらの国の湿地においても、生態学的な連続性や重要地域に着目した統合的な管理がなされておらず、流れる水をせき止め、埋め立てが進むなど、湿地を毀損する開発事業が続いていることを確認しました。

 おりしも現在、世界では「ポスト2020地球生物多様性枠組」(以下「GBF」といいます。)が議論されており、その中では2030年までに少なくとも陸地、海と淡水生態系の30%以上を保全・保護するという目標が謳われており(30by30)、この30by30目標は日韓政府を含むG20でも確認されています。
 私たちは、湿地の劣化を押しとどめ、保全・保護へと逆転させるため、広い意味での湿地(註2)を、上記30by30目標によって保全・保護することが必要だと考えます。水の自然な流れを妨げる河口堤建設、湿地埋め立てなどの行為を直ちに中止し、GBFの目標達成の一つとして広く湿地を保全・保護していくことは、現世代と未来世代がともに満足できる持続可能な地球を維持する大きな力となるでしょう。

 湿地の日にあたり、私たちは、次のとおり日韓両国政府に求めます。

  1.  日韓両国政府は、GBF30by30目標達成のために、まず、それぞれ国の湿地について、ラムサール条約湿地の数又は面積を拡大する、あるいはOECM(Other Effective Area-based Conservation Measures)に指定することによって、自然環境を保全すること。
  2.  湿地をラムサール条約湿地やOECMに指定するだけでなく、生態学的な連続性や重要地域、管理の有効性などに配慮し、各湿地の生態学的特徴に応じた適切な管理が行われるように制度を再構築すること。
  3.  湿地の保全と管理にあたっては、湿地に関連した市民科学の成果を十分に参考にし、管理の計画段階から情報を周知し、先住民、地域住民、NGO、青少年、女性などの意思決定参加の権利を保障し、湿地の管理·運営への積極的な参加を保障すること。
以上

(註1)Global Wetland Outlook 2018 世界湿地概況2018版
(註2)ラムサール条約では、湿地について「天然のものであるか人工のものであるか、永続的なものであるか一時的なものであるかを問わず、更には水が滞っているか流れているか、淡水であるか汽水であるか鹹水(海水)であるかを問わず、沼沢地、湿原、泥炭地又は水域をいい、低潮時における水深が6メートルを超えない海域を含む。」と定義している。

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2022年02月02日掲載