イベント報告

球磨川河口がんばれシギ・チドリ探鳥会

●主 催:八代野鳥愛好会、日本野鳥の会熊本県支部
●共 催:熊本大学減災・水環境研究教育センター
●実施日:2017年4月16日(日)11:00~14:00
●場 所:球磨川河口、やつしろハーモニーホール
●参加者:28名 

 4月は、シギ・チドリ類が繁殖地へ向かう時期である。八代海の球磨川河口にも多数が飛来し、餌を食べたり、休息したりで大賑わいとなる。多くの渡り鳥にとっては、まだ繁殖地への道半ばである。「がんばって繁殖地へ飛んでけー」という気持ちを込めての観察会である。昨年は、熊本地震のために中止となったが、今年は、良い天気に恵まれた。
 まず、学習会をやつしろハーモニーホールで行った。最初に高野の方から「球磨川河口の鳥たち」について紹介した。旅鳥であるシギ・チドリ類にもいろいろな渡りのタイプがあり干潟を選んでいると思われるので、今ある干潟を大切にすることが重要であることを紹介した。熊本大学の逸見泰久先生からは、干潟はカニ類などが生きる場で、アサリ・ハマグリなど生産の場でもあり、干潟の多様性が漁業生産性に繋がっていることを示唆された。江戸時代に書かれた球磨川河口のハマグリ採集の絵も紹介された。カニ類はウエービングというハサミ振りで雌にアピールしたり、雄に威嚇することが動画で示され、干潟で繰り広げられる生物の生き生きした姿に改めて驚かされた。
 午後、球磨川河口右岸に移動して、シギ・チドリ類を観察した。河口の岩島(金剛島)にはアオサギが多数生息し、クロツラヘラサギが14羽も休息していた。カラーリングが着けられている個体(E70とE46)がいた。干潟が少し出てくると、セグロカモメやダイサギなどが飛来し、岩礁付近にはマガモが群れていた。
 右岸側の干潟が広がるにつれて、シギ・チドリ類も次々に飛来し始め、干潟の水際にはハマシギやオバシギの群れが採餌し、オオソリハシシギやチュウシャクシギなどやや大きいシギ類も混じってみられた。ハマシギは約1000羽いた。渚から少し離れた干潟上では、ダイゼンが歩きながらエサを探していた。クロツラヘラサギが渚や干潟上の水たまりで採餌する様子も見ることができた。八代市の「市の鳥」カワセミや魚をダイブして漁るミサゴなども見ることができた。
 堤防に設置された「東アジアオーストラリア地域シギ・チドリ類重要生息地パートナーシップネットワーク」案内板の所で、ここは2004年に八代市がパートナーシップに参加している干潟であることを紹介し、今日見た鳥の振り返りを行いながら干潟の重要性を確認することができた。