イベント報告

和歌の浦干潟観察会 第34回

●主 催:和歌山大学教育学部生物学教室
●実施日:2021年5月30日(日)13:00〜15:00
●場 所:和歌の浦干潟(妹背山観海閣周辺の干潟)
●参加者:約250人

 和歌山市内にある和歌の浦干潟は、片男波の河口干潟と名草浜の前浜干潟を合わせて約47‌haで、近畿圏では最大の干潟です。干潟生物およそ300種が生息します。干潟のある和歌の浦地区は風光明媚で、万葉時代から多くの歌が詠まれ、現在は国の名勝に指定されています。私たちが観察会に関わり始めた2002年以降、34回目の観察会を5月30日に開催しました。4月下旬から隣接する大阪府が、新型コロナウイルス感染症蔓延のため3度目の緊急事態宣言下に入り、さまざまなイベントが自粛される中、多くの人に自粛疲れもあったのでしょうか。当日は天候にも恵まれ、これまでで最多の250名強の参加がありました。いつもと同様、就学前のお子さんや小学生くらいの親子連れが目立ちました。
 子供たちの一番人気はハクセンシオマネキの、特に片方のハサミが大きいオスですが、残念なことに今年4月から工事のためハクセンシオマネキの生息地は半分以上が埋められ消失しています。そのため採集している子供さんはいつもより少なかったようです。それでも、チゴガニやフタバカクガニ、ケフサイソガニなどのカニ類やヤドカリ類、二枚貝のオキシジミやトビハゼなど、さまざまな生き物が採集されていました。
 干潟の泥の深い場所にはカキ殻も多く見られるため、サンダルなど素肌が見える足回りではけがをする恐れがあります。事前の案内で長靴を勧めていて、最近ではサンダル履きの参加者は減っていたのですが、今回は初めての人が多かったのか、サンダル履きが目立っていました。ぬかるむ場所で足を取られ、おニューの長靴を干潟の泥に献上した人もいました。しかし、幸い今回も特にけがをした人はいませんでした。
 次回の和歌の浦干潟での観察会は9月17日ですが、その前に、有田川での干潟観察会を7月25日に開催します。感染や熱中症には気を付けつつも、楽しんでもらえることを願っています。

工事のため干潟が狭くなっていて、人がより多く感じられました


ヒメアシハラガニ(準絶滅危惧)

イボウミニナ(絶滅危惧Ⅱ類)


妹背山山頂から

●参加団体紹介ページ:和歌山大学教育学部生物学教室