イベント報告
海の日に、カブトガニと海の未来を変える挑戦
~カブトガニ産卵観察会&海ゴミの回収~
●主 催:日本カブトガニを守る会福岡支部
●実施日:2023年2023年7月17日(月・祝)7:30~9:30
●場 所:曽根干潟カブトガニ自慢館(北九州市小倉南区曽根新田南4-1-1)
貫川右岸河口~傾斜護岸付近(北九州市小倉南区曽根新田南4)
●参加者:29人

はじめの会では、海の日の海ゴミ回収の全国的な取り組みに連帯してのとりくみであること、曽根干潟はカブトガニの国内有数の生息地であるが絶滅危惧種であり、海ゴミの影響もうけていることを伝え、本日の取り組みの内容と流れの説明をし、小さいお子様もいましたので熱中症対策や安全上の諸注意を改めてお願いしました。
次に、カブトガニの産卵は一般的には満潮時間の前後に行われますが、曽根では遅れてくる子がいるという特徴があるので、潮待ち時間にカブトガニ自慢館の見学をしてもらいました。水槽の生体や展示パネルを見ながら、解説を聞いてカブトガニの形態や生態について学び、関心を持ってもらいました。野外では必ずカブトガニに出会えるとは限らないので、このような施設は大変ありがたい存在です。
頃合いを見て、地元の高校生を先頭に河口海岸に向けて出発しました。海岸まで徒歩で300m程ですが、途中では干潟の干拓の歴史や、対岸のシチメンソウの植栽場所での再生活動について、シチメンソウの模式標本産地が曽根干潟であること、命名者が牧野富太郎博士であることなどのお話しも案内させてもらいました。
河口海岸に着くと、波打ち際に大量の流木や竹、ヨシ屑などが打ち寄せられていて、その中にカラフルなプラスチック系のゴミが転々と散乱している様子に、参加者の皆さんは予想以上と驚いた様子でした。大雨が続いた後で大量のゴミが河川から流入し漂着していましたが、風向きなどでこれでも若干少なめであること、正面の小さな砂浜がカブトガニが産卵している場所で、流木やヨシ屑などに覆われたままでは、その下の砂の中にある卵が酸欠状態になり発生に影響が出る恐れがあること、また、プラスチック類はやがて小さな粒になって、いろいろな生き物や人の体にも取りこまれ悪影響を及ぼすおそれがあるので、プラスチック系の人工物のゴミを回収することと、産卵場を覆っている流木などを取り除くことを目的にするようお願いしました。
カブトガニの方は、先に調査をしていた会員から、他の場所でも産卵に来ていないとの報告で、風向きや波の状況などからも産卵は難しいようなので、カブトガニは産卵泡という泡を目印に探し、南側の傾斜護岸の方ではトビハゼやカクベンケイガニなどの観察をしながら、漂着ゴミを回収したり産卵場の整備をしたりしていきましょう、ということで活動を開始しました。
会のスタート時は曇り空でしたがだんだん太陽が顔を出し、気温も上がってきたので、小まめに水分補給の声かけをしながら、またゴミの種類の解説や、生き物の紹介をしたりしながら、40分程活動をして、早めに切り上げることにしました。回収ゴミは45Lのボランティア袋16袋分と、砂地を覆っていた流木や竹、ヨシ屑などはきれいに取り除かれ、小山になっていました。
集合写真撮影後、集合場所のカブトガニ自慢館に戻ると、館長さんをはじめ地元の役員さんが自慢館にクーラーを入れて待ってくれていました。子ども達には、冷房の効いた涼しい場所で休憩しながら、野外で実際に見ることができなかった分、調査を終えて合流した当会顧問から、カブトガニについて詳しい説明を改めてしてもらいました。実際に触れてみたり質問をしたり子ども達の目がキラキラ輝いていたのがとても印象的でした。
終わりの会で、けがや熱中症もなく無事終了できたことに対するお礼と、海ゴミの現状を見ていただきこれから自分たちでできることを考え取り組んでいくこと、カブトガニやカブトガニの棲む海を次世代に残していけるよう頑張ることを、エール交換して終わりました。
参加者は、ブルーシップのHPを見て事前に連絡を頂いた企業の方が社会貢献活動の一環で参加、そのご家族含め13名(大人8名、子ども5名)、守る会会員8名、一般6名(地元自治会3名、高校生2名、その他1名)、報道関係2名で、総勢29名のこぢんまりとした活動でしたが、ブルーサンタの衣装の希望者もいて、活動の趣旨とその拡がりや参加者の満足の声からすると、たいへん有意義な活動ができたと思います。